1999.02.24
◇ <埋め草不定期連載> モバイル失格「未払いで失格」
written by しおばらひろあき
毎日仕事に追われているというのに、なぜかこんな誰も読まない埋
め草を書かされている私にも、かつて少年時代があった。少年老い
易く学成り難き高校生のころ、私は不遇の家庭環境に置かれていた。
まれに見る鬼っ母(女性週刊誌の見出しによく書いてあるのだが、
なんと読むのだろう)と、日々是戦争の日常を送っていたのだった。
その程といえば尋常ではなく、私は三年間の高校生活のうちほとん
ど昼の弁当を作ってもらったことがなかった。のみならず、ひどく
なると学費の支払の日になっても金を出してくれない鬼っ母ぶりだっ
たのだ。なんてやつだ。おかげで経済的に苦労した私は、こんなに
ひねくれた男に成長してしまった。しかし、思えばこのころから、
私は未払いということばにつきまとわれるべく運命づけられていた
のかもしれない。
今では携帯・PHS あわせて四台を保有する私だが、はじめてPHS を
手にしたのはわずか一年ほど前のことである。だって電話かける用
事なかったんだもん。しかし、元から携帯ガジェットが嫌いではな
かった私。初めて“寝た”PHS は、東芝の「Genio」というPDA一体
型端末だったのだが、とにかく喜んで持ち歩いた。この PHS、通話
はもちろん、単体でメールチェックやWeb ブラウジングもできると
いうツワモノ。一時期は、毎朝乗る京王線の中で夢中になって触り、
八幡山駅で快速電車通過待ち合わせのあいだにメールを取り込むと
いう日々を過ごしていた。朝風の中、メールを読むのは爽快だった。
周りの視線が痛かったような気もするが。
しかし、何ヶ月かそんな生活を続けていたある日、メールを取り込
もうとすると愛するGenio がウンともスンとも言わないようになっ
てしまった。はて……?しかし、Genio は PHS。電波状態が悪くて
つながらないことがよくあった。今回もそれだろうとタカをくくっ
て放っておく私。しかし、そのうち一週間ほど経ってもどうしても
つながらないことに不安を感じ始めた……。どうしたんだろう。ア
ンテナは三本立っている。電池もある。プロバイダの設定も間違っ
ていないようだ。電車の中でうんうん悩んでいるうちに、私は自宅
の留守電をチェックしようと、気を取り直してGenio で電話をかけ
ることにした。すると、突然Genio のスピーカーから見知らぬ女の
声が!恐怖のあまりGenio を取り落としそうになった私だったが、
なんとか気を落ち着けることができた。そうか。そうだったのか。
謎はすべて解けた……。
見知らぬ女性の声は、DDI ポケットのテープアナウンスであった。
それは、料金未払いのため一部サービスを停止していると私に伝え
ていたのだった。私は別に当時とりたてて貧乏だったわけではない
のだが、加入申し込み時に「銀行自動引き落としになるまでは振り
込みしてくださいね」という説明を受けたのを忘れ、契約月の支払
いを忘れていたのだった。当然、PHS から発信などできるわけがな
い。しかし、私はGenio をほとんどメールチェック専用に使ってい
たため、音声の警告アナウンスに気づかなかったのだ。おかげで未
払いのまま、ずっと使っていたというオチである。振込用紙までな
くしていた私は、DDI の支店までわざわざでかけていって受付のお
姉さんにしかられながら恥ずかしい思いをして支払をした。
最近 J-PHONEの携帯を手に入れた私は、簡易メールサービスを好ん
で利用している。つい先日のこと。突然、メールが送れなくなって
しまった。どこか壊れたのかとさんざんいじくりまわしたあげく、
電話自体はかかるのかと試したら、また懐かしいお姉さんの声が携
帯から聞こえてきた。……未払い警告だった。どうやら私の辞書に
は成長の二文字がないらしい。
……京太のこっそり一言……
いつも完全無欠の Barさん。ドジばかりしている私としては、どー
してそんなに完璧なのか不思議で仕方ない。でも先日、カシオペアE-55
をいじりながら「電池のプラスマイナス間違えた……」と恥ずかし
そうに電池を入れ替えている現場を目撃。こういう人のドジを見る
のは楽しい。ぐふふ。ばらしちゃった。
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